浅野忠信はゴールデングローブ賞を受賞するべきだ

文:ベンジャミン・ローズ(Read in English

訳:スナイダー・オリビア

2025年1月6日(月)新着情報:浅野氏、見事に助演男優賞を受賞!

我々『ザ・パス』スタッフは、明らかに『SHOGUN 将軍』の大ファン。このシリーズは『ザ・パス』がバイリンガルのブログへと変わったきっかけとなり、各エピソードのレビュー、戦いシーンの擬闘、そして生死のテーマなど、様々な内容について記事を書きブログに掲載してきた。批評し、受賞を祝い西洋が見る日本のイメージに与えた影響やメディアで描かれる東アジア人のインパクトも深く分析してきた。しかし、今回は私ベンジャミン・ローズ、『ザ・パス』の編集長は、視聴者の皆さまに大変重要なメッセージをお届けしにきました。それは、『SHOGUN 将軍』のMVPでもある、過去10年間最上のテレビシリーズのベストの俳優に関わるお願いだ:

この人にゴールデングローブ賞を今すぐ与えるべきだ!!!

『SHOGUN 将軍』を観た人は皆同感だと思うが、エミー賞の総なめや浅野忠信の助演男優賞のノミネートにも関わらず、我々ファンが愛する樫木藪重の賞は奪われた。陣羽織を身に着けた藪重が、ブラックソーンの仲間を裁判しに馬に乗って網代にやって来た初めての登場から、切腹をし虎永に介錯される直前に最後のニヤッとした笑顔を浮かべるファイナルシーンまで、彼のパフォーマンスは最初から最後まで素晴らしい演技を届けてくれた。別の俳優だと藪重のキャラクターは単調な反社会的人間として描かれたかもしれないが、浅野氏の演技力とタイミングがいいコメディー効果により、藪重が次々と周りの人を裏切り続ける中でも、憎めない男だった。そう、鞠子の死を起こしたあの男でも。藪重に同情する理由は一つもないが、なぜかそう感じてしまった。

スターの形成

浅野氏のキャラクターに対する洞察は、見事に実行された2つの観察にかかっていた。まずは、ジェームズ・クラベルの小説に基づくFXシリーズの『SHOGUN 将軍』で描かれる藪重は、完全なサディストよりも知的好奇心の強い子供に近いこと。そして、彼は「ロックスター」であること。儀礼的伝統に背く行為とは処刑される理由に繋がる、というこの厳しい適合の世界では、藪重はしっかりした個人の信条(自分のサバイバルと権力を手にすること)を持つ反逆者であり、知性派の男の悪人でもある。『SHOGUN 将軍』の初期の解説は藪重を『ゲーム・オブ・スローンズ』のリトルフィンガーに例えたが、樫木家の主は明らかに二股をかけることが苦手で、より好感の持てる人物である。『ローリング・ストーン』にインタビュー(英語のみ)された浅野氏はこう述べている:

「海外では活動したことはあるが、数々の日本映画やドラマに出演している日本人俳優としての存在を常に意識している...どの言語で話していても字幕が付くことは知っていたけど、アメリカの作品であることも知っていた。だからこそ自分のパフォーマンスに身体性(フィジカルな動きなど)を含める必要があると思った—自分の立ち方、動き方、顔の表情—字幕がなくても伝わる感情を描きたかった。視聴者には、その動きを観ただけでこのキャラクターを理解し、面白い人物だと思って欲しかった。言語に関わらず、納得してもらいたかった。それがチャレンジだった。」

このアプローチは見事に成功した。疲れ果ててうめいたり、浮かぬ笑い声や驚きの表情など、言葉を使わない感情の表現や「顔の演技」のみを使った浅野氏のフィジカルコメディーは素晴らしかった。そのシーンを集めた動画をYouTubeにアップロードするファンがいるほどだ。私の意見では、シリーズの一つのハイライトは、フィナーレで迫ってくる自分の破滅を感じ、完全にパニックになっている藪重だった。はじめにカッコイイ兜を装着して格好を付けていた藪重は、結局ユーモアあって驚くほど感動的な終わりを迎えた。最後には、彼は本当に立つ瀬がなかった

味方と敵

個人の実績以外にも、浅野氏の才能および即興で演技ができる能力により、様々なシーンでの相手役として周りの俳優達のパフォーマンスを高めていた。放送中にシリーズの人気がピークに達したころには、多くの視聴者やファンは敵でもある友人でもある藪重とジョン・ブラックソーンのペアが主演する『ラッシュアワー』のリメーク作品を観たいとネットに投稿していた。二人の俳優の間に言葉の壁があっても、浅野忠信とコスモ・ジャーヴィスが演じたキャラクターはお互いへの敬意と反射的な軽蔑の両方を上手にバランスし、その演技を通して互いを引き立て合うことに成功した。第7話では、何を言っているか理解できないブラックソーンに文句を言う藪重は「なぜお前に話しておるのじゃ、風に向かって小便をしているようなものじゃ」と苛立ち、無理やり按針に剣術を教えようとする。藪重は不器用に刀を振るブラックソーンを叱り、結局彼の腹を思いっきり蹴って地面へと倒す。

「そうくるか」

同じく、第8話でブラックソーンはエラスムス号での攻撃を虎永様に勧め、藪重のサポートを得るために説得してみる。「彼はクソ野郎だが、勇気あるクソ野郎だ」と言うブラックソーンの提案を聞く藪重は、いつものニヤニヤした笑顔を浮かべる。ブラックソーンの話を聞いた央海は「恥ずべきことでございまする」とすぐに言い返し、甥の批判に続いて藪重は落ち着きを取り戻すが、彼がブラックソーンを拒否していてもそれは明らかに誠意のない言葉だ。山賊の攻撃中にブラックソーンに「おらわ犬じゃ」を言わせたり、「紅天」で石堂と会う前に彼の姿勢を直したり、二人の俳優の相性は様々な場面で見られる。

浅野氏と真田広之が一緒に登場するシーンでも同じく、長年にわたる二人の友好的な歴史と俳優同士としての何十年も続く関係がスクリーン上で見られる。藪重が陰謀を企てるなか、虎永はいつも彼の一歩先にいる。二人の関係はまるで困惑した父親と反抗的な子供のようだ。第3話では、ブラックソーンをターゲットにした攻撃は藪重が企てたと分かっている虎永は、処刑されると思っている藪重に「そのほうはわしにとって頼もしき味方ではなかったかのう?」と問う。しかし、虎永は藪重の命を救い、駿河の国の領地も与えると約束するが、藪重はその後すぐにまた石堂と次の陰謀を企てている。甥の央海との関係を小説の藪重に比べて和らげた脚本の重要な改訂や、性格が硬い根原丞善との少し気まずい友好関係(?)など、浅野忠信は藪重の人間関係全てにニュアンスを描く機会を探し出している。敵も味方も関係なく、藪重のゴールはいつもはっきりしている:地位を昇進することと、死なないという一番重要なことだ。

最後に笑うのは...

浅野忠信は日本内では正真正銘の映画スターだが、海外では多くの場合脇役が任されることにも関わらず、総合的に考えてみるとゴールデングローブ賞を受賞すべきではない理由は一つも浮かんでこない。虎永に切腹よりもっと「面白い」死に方のチャンスが奪われた藪重からは、エミー賞もすでに奪われている。ハリウッド外国人映画記者協会は、今こそ浅野氏の素晴らしいパフォーマンスを十分に考慮し、藪重に賞を与えるべきだ。それは彼の因果、いや、宿命だ。

写真提供:FX

イラスト提供:ザ・パス/絵:ナタリー・ビエラット

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『SHOGUN 将軍』の世界をより深く知りたい方には、1980年シリーズ『将軍 SHOGUN』#ad、そしてジェームズ・クラベルの小説#adをおすすめします。


「ザ・パス」(「道」)は、芸術・文化・エンタメを取り上げるバイリンガルのオンライン雑誌。サイエンスフィクションとファンタジー系の大人気映画・テレビシリーズ・ゲームの徹底的なレビュー、ニュース、分析や解説などを提供している。

知的財産とメジャーなフランチャイズを深く調べることで読者および視聴者の皆さんの大好きなシリーズ本、映画、ゲーム、テレビシリーズについて新鮮なコンテンツを作っている。主に『ウィッチャー』、『サイバーパンク2077』、『ロード・オブ・ザ・リング』、『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』、『フォールアウト』、そして『SHOGUN 将軍』を取材している。

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