12月27日(金)公開予定の新『ロード・オブ・ザ・リング』映画『ローハンの戦い』は、世界中の『ロード・オブ・ザ・リング』ファンの中で話題となっている。アマゾンプライムシリーズ『力の指輪』の期待外れの公開以来、この大人気のフランチャイズのファンは面白くて新しいストーリーに飢えていたが、今年はオリジナルな内容に加えて1978以来の初アニメーション化された『ロード・オブ・ザ・リング』映画を楽しむ機会が与えられた。私の意見としては、このようなファンタジーの世界を描くにはアニメーションが一番相応しいと思う。
今回のアニメ映画では、『ロード・オブ・ザ・リング』の世界と人物を新たなアプローチで観ることができる。そのアニメーションスタイルは『風の谷のナウシカ』に似て、トレーラーは王国同士の壮大な戦いの第一線に立つ若い女性のエピックな物語を描いている。『ロード・オブ・ザ・リング』の長い歴史では聞き覚えのある筋でもあるが、新たな内容と登場人物を紹介している。
予告のスタイルやクオリティにより、映画に対する期待は良かったり悪かったり、それぞれ異なる。『ローハンの戦い』の海外版予告は視聴者の興味を捕まえるが、残念ながら多くのストーリーをネタバレしている。トレーラーに登場する女主人公は、優秀な戦士であるにも関わらず、女だからこそ周りの人に真剣に認めてもらえない。予告では見合い結婚の話と、それに反対するが無視されるローハンの王女「ヘラ」が登場し、急にその結婚相手の父親が殺されるシーンとそれに続く全面戦争と息子の敵討ちがはっきり描かれている。このフェミニストな成長物語の筋はピクサー映画『メリダとおそろしの森』によく似ている(主人公は別の赤毛の女性だが...)。この予告を観れば、ストーリーはどのように展開するかすでに想像がついてしまう。

一方、日本版予告はそれほど映画の内容をネタバレせず、視聴者はそのミステリーにより興味を持つと思う。トレーラーのナレーターは「若き王女ヘラ」と「共に育った幼馴染ウルフ」を紹介するが、二人の間の戦争の原因は描かれない。婚姻同盟の話やウルフの父親の死も紹介されていない。ウルフの「王座は俺がもらう」と言う台詞を聞くと、戦争の原因は不慮の死ではなく、権力欲だと視聴者は思うでしょう。
海外版予告では、ローハンの王とヘラの父親であるヘルム王は戦う意思が強い娘に向けて「君は戦争のことは何も分かっていない」と厳しく言うが、この台詞は日本版には登場しない。海外版のヘルム王は「私の誇りよ、君は世界中を統治できるでしょう」と励ましの言葉も娘に伝えるが、日本版では「皆の希望だ」、「例え私が倒れても、この国を導け!」など、励ましの言葉のみを伝えている。海外版の方がよりフェミニズム的な女性の成長の話に見えるが、日本版は元々フェミニストなレンズでヘラを描き、彼女は有能なリーダーおよび戦士として家族や周りの人に尊敬されていることを主張している。

日本版予告が描くストーリーは、ヘラが王国を勝利と平和の道へと導く物語。一方、海外版予告が描く内容は、『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』のレイニラ女王によく似て、戦いや権力となると女性は男性と同じレベルでその役割に相応しい、というメッセージ。日本版は、ファンタジーの舞台で女性が性別によって苦闘する姿を見せるという些細な必要性を越えることで、本質的によりフェミニストである。
海外版を観ると映画の結末はなんとなく見えてくるが、数週間で公開されるため、実際にどのようなお話が待っているのか楽しみだ。
写真提供:ワーナー・ブラザーズ
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