『アサシンクリード:シャドウズ』の問題作フィギュアについて

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最近掲載されたITmediaの記事では、2025年2月リリース予定の新『アサシンクリード』ゲーム『シャドウズ』#adの新製品フィギュアの発売が中止されたと発表された。

話題のフィギュアは、ゲームの主人公である黒人侍弥助#adと女性忍びの直江をデフォルメしたデザイン。これだけでは特に問題はないが、「無神経」なポイントとは背景にある一本柱の鳥居のディテール。

写真提供:PC Gamer

鳥居とは、日本文化と神道にとって最も重要なシンボル。神社では、神と人間が通る神域への入口を示す「門」として立つ。京都府の伏見稲荷大社や広島県の厳島神社など、世界中で知られている有名な鳥居は昔から日本を代表する文化的象徴でもある。

『シャドウズ』のフィギュアの問題は鳥居の存在自体ではない。ポスターやCMなどのゲームの広告用資料では、弥助と直江の後ろに立つ鳥居ははっきり見えている。問題はフィギュアの鳥居の描き方だ。フィギュアでは半分に壊れた「一本柱」の鳥居が立ち、そのしめ縄もぶらんと垂れている。

フィギュアのデザインが公開された際には、すぐに公衆に厳しく批判された。フィギュアの鳥居は長崎県長崎市にある山王神社の「一本柱鳥居」に酷似していると指摘された。第二次世界大戦中、アメリカ軍は1945年8月9日に長崎市に原爆を落とした。それは広島市の原爆の3日後だった。長崎では約7万5千人の重軽傷者、約7万4千人の死者という被害者数が出た。爆心地から800メートル離れている場所に立つ山王神社の鳥居は、被爆時の爆風により左半分は吹き飛ばされたが、右半分は奇跡的に立ち続けた。

写真提供:長崎市公式観光サイト

戦争後に鳥居を建て直すより、長崎市は一本柱を現代に続けてそのまま保存している。広島市の原爆ドームと同じく、山王神社の一本柱鳥居は原爆の悲惨さを語り継ぐ歴史的遺物。このような原爆遺構は原爆の悲劇を忘れぬよう保存され、世界平和を祈り続ける被爆者たちにとっての重要な象徴でもある。

映画やゲームのグッズを手掛ける会社PUREARTSは、なぜこのようなフィギュアのデザインを考えたのか理解できない。フィギュアの背景に何かを足す必要があったのなら、普通の鳥居でも良かったのではないかと思う。一本柱鳥居をデザインに含めたことはいかにもわざとらしく見える。デザイナーたちは日本人の意見を聞く、またはネットで一本柱鳥居には特別な意味がないのかを調べる、などとても簡単なリサーチを前もってしていればこのような事件は起きなかったでしょう。

デザインの数々の批判がネット上で投稿された際に、PUREARTSは「デザインを作り直しております」と公式Xアカウントで文書を公開した。フィギュアの販売は完全に中止されたと思われる。

現代のポリコレ的な環境では、何でもかんでも「キャンセルカルチャー」の影響を受けているかのように思ってもおかしくないが、シンプルに言うと人間はバカじゃなかったらこのような事件はそれほど起きないだろう。『シャドウズ』のフィギュアのデザインを作った制作者チームの中には、日本文化に詳しい人や、実際に日本人の意見を聞いてみようと思った人は一人もいなかったのか?制作したゲームそのものが日本の歴史と文化を利用してストーリーを作った作品なのに、それでもリサーチは足りていないのか?スマホやネットで何もかも便利に検索できるこの時代では、「一本柱鳥居」の意味を調べらることは不可能なのか?なぜこのような馬鹿馬鹿しい間違いが続くのか理解できない。

写真提供:『ゴースト・オブ・ツシマ』Variety

現代のメディアでは異文化を由来とした作品を作る時、正確にその異文化を描くための努力が過去に比べてかなり進化している。しかし文化的感受性は未だに当たり前なことにはなっていない。制作者の中ではまだまだ白人アメリカ人が多く、マイノリティの声はまだ少ない方だ。これが変わるまで、後何回『シャドウズ』のフィギュア事件に似たスキャンダルが起きるのか...?

メイン画像提供:Ubisoft


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