【ネタバレレビュー】『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』シーズン2第8話「不滅の女王」

文:ルイス(Read in English

訳:スナイダー・オリビア

スコア:30点

がっかりした。

このフィナーレエピソードはシーズン2のベスト一話となるべきだったが、残念なことにシーズン半ばの外伝的エピソードのような印象を残した。2年間も待ち続けた新シーズンなのに、その結末は満足感を一つも残していない。標準未満のフィナーレ以外にも、シーズン2には大きな問題がある:全体的に、ストーリーのポテンシャルを果たすのに失敗している。

ショーランナーたちがどのような物語を描きたいのかまだ分かっていないと感じた。オリジナルのシリーズが面白かった理由は登場人物たちの道徳的な曖昧さだったが、シーズン2でレイニラやアリセントの性格を和らぐことで、その曖昧さを描くのにためらっている。しかしこのアプローチは作家ジョージ・R・R・マーティンが作った世界の本質を弱体化させている。彼の小説にははっきりとしたヒーローと悪者ではなく、曖昧な道徳を持つ登場人物が主に存在する。

フィナーレの脚本はスターウォーズシリーズ『アコライト』に似て、正直いまいちだった。コメディの部分はエピソードの内容を少し気楽にするために足したとショーランナーは語っているが、そのコメディ自体は全然面白くなかった。その場面のタイミングも非常に悪かった。その不手際な追加は『ゲーム・オブ・スローンズ』で歌手エド・シーランが急にゲストスターとして現れた時を思い出させる。

このフィナーレが逆にもっと長めのシーズンの半ばでの外伝的エピソードだったら、まあまあ良かったでしょう。しかしこれがシーズンフィナーレだとは考えられない。新しいエピソードを8話も観たのに、なぜストーリーはシーズン1のフィナーレから全然前に進んでいないんだ?嫌な印象を残しているうえ、今回期待していたアクションが次のシーズンで描かれるまでまた2年間待たないといけない。

標準以下のシーズンフィナーレには標準以下の点数を与える:たった30点。

第8話復習(ネタバレあり)

エピソードはウェスタロスではなく、エッソスで幕を開ける。タイランド・ラニスターはラニスター家のトレードマークでもある鋭い機知を活かそうとしている(それは遺伝的な特徴なのか?)。タイランドは三頭市と掛け合っているが、掛け合うどころかただ海賊たちに手伝ってくれと必死に頼んでいる。それはあまり威厳のある光景ではない。

しかしそこからストーリーが悪化する:ロハール司令官が登場する。彼女は艦隊の応援を約束するが、それを得るにはある条件がある:タイランドは泥レスでロハールに勝たなければならない。これは冗談だと言いたいところだが...これはまるで脚本家が急にプロレスにハマって「この政治的ファンタジードラマに必要なのは泥レスだ!」とアイデアを出してしまったようだ。プロレスは好きだが、このシリーズにそれを含めるのは大間違いだった。

因みに、ロハール司令官は泥レスで勝った人のみと航海するのか?周りの数百人の海賊たちはみんなロハールを倒した者なのか?それでも司令官のステータスを保てるのか?論理のつじつまが合っていない。

その間、キングズランディングではエイゴンはまだ回復中。ラリスは彼にレイニラの新しいドラゴンの乗り手のニュースを伝え、加えてエイモンドがデナーリス・ターガリエン風にシャープ・ポイントの街をヴァ―ガーで全て燃やしてしまったことも報告する。ラリスは臍繰り金を持ってブレ―ヴォスまで逃げようとエイゴンに提案する。自分の家族と平民を見捨て、王としての義理を放棄するとエイゴンは決める。

「最悪のターガリエン」として負けたくないエイモンドは、キングズランディングを中世の警察国家に変えようとする。多くの人々が餓死しているうえ、平民の人生をさらに不幸にしている。争いを嫌う姉のヘレイナまで強制的に戦闘に参加させようとする。トラウマを抱えた姉を無理やりドラゴンに乗せ、戦いに出てもらうことは家族同士の絆を深めるような行動じゃないよ、エイモンド!

可哀想なヘレイナは、エイモンドに予言を伝える:エイゴンは再び木造の玉座で王位に就く。一方、エイモンドは「神の目」の湖で永遠に沈む運命。

黒装派側では、ジェイスは落とし子であることをきっかけにアイデンティティーの危機を経験する。アルフは相変わらず態度が悪くてみんなに嫌われている。レイニラはドラゴンが7頭いても翠装派は降伏しないと気付き、いよいよ戦になると覚悟する。私はひねくれた性格でもあるが、フィナーレの一番感動したシーンは、コアリーズが亡き妻レイ二スに敬意を表して新しい船を「戴冠せざりし女王」と名付ける場面だった。そのシーンはさすがに私の心に訴えた。

デイモンはまだルイージマンションっぽい〈ハレンの巨城〉でうろうろしているが、今回の幻視はなんと『ゲーム・オブ・スローンズ』のハイライトを復習するムービーだった。三つ目の鴉、夜の王、ドラゴンの卵、デナーリスの姿まで現れる。デイモンは『スローンズ』のシーズン8を観て、そのクオリティとストーリーがあまりにも悪くて「その結末はレイニラと止めた方がいいな」とでも思ったのでは?

サイモン・ストロングに招かれたレイニラはやっと〈ハレンの巨城〉に来る。デイモンは急にスターク家の一員のように冬と闇の予言を語り、ひざまずいて真の女王レイニラへの忠義を誓う。そのシーンはシーズン1のフィナーレとほぼ変わらない。

このパターン、分かってきただろ?

エピソードはレイニラとアリセントの夜ふかしで幕を閉じる。アリセントはエイゴンが王位に就いたことが間違いだったと認め、レイニラがキングズランディングを手に入れるよう支援すると誓う。アリセントが望むものはただ一つ:ヘレイナと孫娘のジェヘイラを連れて無事にキングズランディングを去って行くこと。レイニラはそれを受け入れるが、ある条件がある:エイゴンの命を要求し、「息子には息子を」とそれを正当化する。驚くことに、アリセントは同意する。

しかし、彼女たちはこれが無駄な話だとまだ分かっていない。ウェスタロスではすでに軍が進軍し、同盟を築いた者も動き出している。この時点では、破壊的な戦争は不可避だ。

最後に

シーズン2を全体的に振り返るとポテンシャルは多少あったが、最終的にそれは発揮されないまま終わってしまった。スケールが大きい紛争や政治的陰謀など、期待していた情景は全て骨抜きにされ、そのテーマも満足に実行されていなかった。「何も起きなかった」問題ではなく、ストーリーの展開自体が特に面白くなくて、視聴者を惹くような描き方ではなかった。

ストーリーの展開のペースが不徹底だったうえ、登場人物の展開はほぼなかった。ユーモア・コメディをストーリーに含めてみる挑戦も大失敗だった。まるでプロデューサーたちがシーズン1の一番良い部分や特徴を集めて「これを全部捨ててシーズン2を作ろう」とでも決めたみたいだ。

ショーランナーたちはなぜ『ゲーム・オブ・スローンズ』が元々良かった理由を忘れたみたいだ。ドラゴンやドラマチックな戦いはもちろん良かったが、一番の魅力は複雑な登場人物、政治的陰謀、そしてどんなに重要なキャラクターでも、最後まで生き残る保証はどこにもなかったドキドキの感情だった。

『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の一番がっかりするところは、フィナーレが終わっても全然シーズン3の楽しみがないこと。あまり評価が良くなかった『ゲーム・オブ・スローンズ』の後半のシーズンと同じことをやっている(その過去の反発から何も教わっていないのか?)。シーズン2のキャラクターは全て、シーズン1に描かれた者を薄くしてそのコピーを描いたみたいだ。

最終的に、このフィナーレとシーズン2自体は見逃したチャンスだ。視聴者の期待に応えることができず、放送されたエピソードは『ゲーム・オブ・スローンズ』のレガシーに相応しい続きではなく、ただの高額予算のファンフィクションが残されただけだ。

写真提供:HBO

Photos are property of HBO.

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