文:ルイス(Read in English)
訳:スナイダー・オリビア
スコア:80点
今週の『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の新エピソードでは、ディスカッションするべきの色々な面白い出来事があった。第2話の上映時間はなんと丸々一時間!ウェスタロスのドラマシリーズに相応しい長めの上映時間だ。他の二流のテレビシリーズは30分程度のエピソードを放送しているが、エピックなファンタジー系のドラマとはそれを高く超えるべきもの。
衝撃的なプレミアエピソード「息子には息子を」で起きたジェヘアリーズの残忍な殺人(私はそれを観てからまだ精神的に立ち直っていない気がする)に続けて、第2話は比較的に落ち着いている方でもある。決して平和な内容ではないが、もっとゆっくりしたペースでストーリーを進めることで視聴者はプレミアのショッキングな影響をより処理することができる。
これこそ「リカバリーエピソード」と呼んでもおかしくない。翠装派のメンバーはジェヘアリーズを亡くしたことで浮足立つなか、その深いロスに対処する能力はほぼ無い。一方、黒装派は完全に被害対策モードになっている。敵の子供を殺害したと告発される黒装派は酷いショックを受け、内面の葛藤を解決しようとする。キングズランディング内では、冷静に考えて行動をとっている人物はオットー・ハイタワーしかいない。残念ながら王である彼の孫息子は、祖父の実用主義の良さを理解していない。
様々な面で政治的陰謀が起きているうえ、登場人物も皆それぞれの支配的な性格を表している。第2話は推移のエピソードでもあるが、将来の出来事や抗争に繋ぐストーリーの準備を整っている。このエピソードは80点のスコアに値する。
第2話復習(ネタバレあり)

「レイニラ残酷王」の本題に深く入ろう。
ジェヘアリーズの死の直後にエピソードは幕を開ける。エイゴンは当然ながら激怒している。翠装派は緊急会議を招集し、この場面でオットー・ハイタワーは自分の知的能力を発揮している。他の皆が敵の血を流すことばかりを求めるなか、オットーはあるチャンスを見つける。
オットーはエイゴンを上手く説得し、息子の遺体をキングズランディングの市内で練り歩かせ、アリセントにも葬列に出てもらうことを提案する。非常に冷たい行動でもあるが、彼の戦略的思考は素晴らしい。囚われたジェヘアリーズの暗殺者、ブラッド(「血」)を直ぐにエイゴンが殺さないことも、オットーの説得力のお陰。オットーは直ぐに行動をとらず、ゆっくり考えることで将来に向けてより有益な決断を出している。
次は葬列について話そう。これはまさにリトルフィンガーが誇りに思いそうな人の操り方である。政治的手腕を身に付けたアリセントは明らかにトラウマを受けているヘレイナを一緒に葬列に出てもらうよう説得する。これは悲痛なシーンとなる。ヘレイナは精神的に大丈夫な状態ではないが、他人の政治的な策略の道具にされている。二人が市内を回るなか、オットーの作戦の効き目が見えてくる。人民は二人の嘆きと悲しみを共有し、エイゴンの統治に対するサポートが強まっている。
だがそこで状況は大混乱になる。二人が乗っている荷車が道に引っかかり、周りの人達が群がってくる。すでに不安な緊張状態にあるヘレイナは神経衰弱になる。彼女の反応は政治工作の悪影響を思い出させる冷厳な結果だ。アリセントは娘を落ち着かせようとするが、彼女も明らかに状況をコントロールできていない。このシーンはヘレイナの脆弱な精神状態をはっきりと描いている。彼女のキャラクターは一体どうなるか心配になる。
その間、ドラゴンストーンでは黒装派も同じく危機に陥っている。ジェヘアリーズが殺されたニュースが届くと、それを初めて聞くレイニラのショックと否定の感情は明白だ。この悲惨な事件はデイモンが勝手にやったことだとレイニラが気付く瞬間では、女優エマ・ダーシーの演技力が輝いている。続くデイモンとレイニラの間の喧嘩はまさにターガリエンドラマのベストとでも言えるでしょう。二人はお互いの根深い不安をターゲットにし、厳しい言葉を交わすことでドラゴンのように口から火を吐き出している様だ。レイニラはデイモンの性急な危険人物のような性格を批判し、王位を奪われたことで恨んでいると責める。一方デイモンは...まあ、デイモンはデイモンらしくいるとでも言っておこう。この喧嘩を観ると、この夫婦の間には不和が広がっていることが明らかだ。この不和がどのような結果を生み出すか気になる。

続いて皆のナンバーワン嫌われ者の騎士、クリストン・コールについて話そう。こいつは縁起でもないやつと言えるでしょう。彼は若き王子を守る見張り役を怠り、代わりにアリセントの寝室で決してしてはならないことをしていた行動に対して罪の意識を感じている。王の盾の一員として禁欲の誓約を立てているはずなのに...一番重要な義務で失敗したうえ、彼は再び誓いを破っている。
それに加えて、コールは自分の不安を他人に投影するような野郎だ。サー・アリック・カーギルの少し汚れたマントを見かけるコールは、自分の罪悪感に追われてアリックを厳しく𠮟る(真っ白なマントは禁欲の誓いのシンボルとなる王の盾のマークだ)。このシーンはピリピリするが、アリックは自制心を見事に発揮している。だがコールはそこで止まらない。アリックに一人でドラゴンストーンに侵入し、レイニラ王女を暗殺することを命じる。この計画は明らかに特攻任務。これを観ていた私はたまらなくなってテレビに向けて叫んでいた。今までのコールの酷い行為のなかでこれが一番最悪かもしれない。こいつはシリーズの登場人物のなかでも本当に悪いやつだな。コールは心理療法を求めるべきなのでは⁈
心理療法といえば、エイモンドと性労働者のシーンがある。エイモンドは明らかにママの問題を抱えている。売春宿でアリセントに似た遊女と一緒に裸で胎児のように丸くなって横になっている。このシーンは重要なことを証明するためにこれを描いていると思う:翠装派の人達はあまりにも情緒不安定で、誰にも他人を慰めて真の愛情を表す情緒的能力がない。エイモンドは母親から求めている愛情をアリセントから貰えず、売春宿に通って年上の遊女からその愛情を買うことしかできない。因みに、エイモンドとアリセントを演じる俳優達は少し歳が近すぎるのでは?アリセントより遊女の方が何倍もエイモンドの母親の年頃に見える。
エピソードの最後には、エイゴンはジョフリー・バラシオンのような行動をとる。拷問を受けている間、暗殺者のブラッドは共犯者がネズミを捕る人だったとばらす。それを聞いたエイゴンはキングズランディング内の全てのネズミ捕りを処刑することを命じる。この決断は明らかにやり過ぎだ。エイゴンはネズミ捕りの死体を市内の壁から吊るし、葬列でオットーが頑張って手に入れた親善は台無しになる。
ここでエイゴンとオットーは、『ゲーム・オブ・スローンズ』で時々あったジョフリーとティリオンの喧嘩と似たような、王と王の手の間の対決をする。オットーは孫息子の先見の明のなさを厳しく批判するが、エイゴンは祖父の言うことを聞かない。エイゴンは素早く王の手の地位をオットーから奪い、代わりにまさかのクリストン・コールに与える。きっとこの不安定な状況に必要なのは、さらに衝動的な意思決定でしょう。
エピソードのフィナーレは、そっくりの双子の騎士兄弟、アリックとエリックの強烈な戦いシーン。素早い戦いだが、残酷でもある:黒装派の兄はレイニラを守り、翠装派の双子を殺す。しかしその感情的損害はエリックにとって壊滅的だ。世の中で一番愛した兄弟を殺してしまったエリックは、その罪の重さに耐えられず自分の剣で自害する。兄弟二人にとって悲劇的な結末になり、黒装派と翠装派の間の争いの衝撃的な人間の犠牲を思い知らされる。
最後に

この時点では翠装派をサポートし続ける人は残っているのか?そいつらは忌まわしくて卑しい人物ばかりだ。それに加えて家父長制を支持し続けている。正直に言うと、私はどのキャラクターも嫌いだ。ほとんどの登場人物は明らかに悪人であるうえ、あまり賢い特徴もない。
私の一番の推しがオットーだとしたら、問題がある。クソ翠装派の一員として、視聴者は彼のキャラクターを好きになるべきではない(一方オットーを演じる俳優の素晴らしい演技力を褒めるべきだ)。
脚本自体には弱点がある。何度も失策し続けるキャラクターをサポートするのは難しいこと、それが例え全体的にストーリーの大事な一部であっても。しかしこのシーズンは非常にうっとうしい。ストーリーの内容が忍び難いままでいたら、視聴率に悪い影響を与えるか心配になる。
キャラクターがパーフェクトな人物じゃなくても、視聴者に味方に付いてもらう方法を探すべきだと思う。シーズン1のデイモンを覚えていますか?決していいやつではなかったが、デイモンのキャラクターがクールだったため、皆は彼を推した。私はシーズン1の良さはデイモンのお陰だったと思う。もっとそのような感情がシーズン2には必要な気がする。
シーズン2はただ何事も成し遂げないで時間を無駄にしていると言うにはまだ早いが、次のエピソードもまた同じような内容だと、そう思い始めるかもしれない。翠装派と黒装派の抗争がどのように発展していくのか、そして様々な脇筋で登場する新キャラクター達がどのように絡んでくるのかは、これから成すべきこと。
要するに「レイニラ残酷王」は感情的に重たいが、堅実なエピソードである。メジャーな抗争に向けて準備を整え、主な人物の深層心理を描いている。玉座を手に入れようとする戦いでは、勝者というものはいない。最後にただ生存者だけが残されることを、私達は思い知らされる。次に放送されるエピソードでは、少しでも希望を持てると嬉しい。せめてサポートできるキャラクターが登場してくれれば、それだけで嬉しいかも。
写真提供:HBO
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