【ネタバレレビュー】『SHOGUN 将軍』第2話「二人の主君に仕えて」

文:ベンジャミン・ローズ(Read in English

訳:スナイダー・オリビア

スコア:95点

『SHOGUN 将軍』は刺激的なプレミアに続けて第2話「二人の主君に仕えて」を公開する。大老同士の画策と暴力行為が増えるなか、ブラックソーンは振り回され、ポルトガルの重要な隠し事も明かされる。第2話は素晴らしい脚本の力を活かしている。

太閤の死、続く大老衆の統治

「国の頂に立つ者は誰より孤独なのだ」

−太閤

このエピソードは危機の間際に幕を開ける。1599年、つまり1年前のフラッシュバックでは、豊臣秀吉に基づいた当時の太閤、そして世継ぎ八重千代の父である中村秀俊は、瀕死の状態で大老衆に囲まれ、最後の会議を行う。大蓉院となる太閤の妻は、「み仏を一心にお念じなされませ」と伝えるが、太閤は若き息子を呼び出す。まだ幼い八重千代は 「浄土ではどのようにして父上を見つければよいのですか?」と問うが、純情な息子を見て涙が出る太閤は 「人の世は妙なものよのう、夢の中で見る夢のようなもの」としか答えない。太閤は大老衆に部屋を出てもらい、虎永だけ残ってもらう。ジェスイット司祭が木山に「太閤様は秘跡をお受けにならねば神の国へ参れません」と促すと、後から石堂と虎永の争いの鍵となる落葉の方は「神の国とやらはそちの尻の奥にあるやもしれぬのう」と嘲る。

これで虎永と太閤は二人きりになる。太閤は八重千代が元服するまで虎永一人を大老にする案を差し上げるが、この道を進めば他の大老衆4人の手により八重千代と共に殺されることを分かっている虎永はそれを断る。太閤は代わりに権勢の奪い合いを避けるため、膠着状態として五大老体制を命じる。「殿下は日ノ本一の知恵者にござりまする」と虎永は宣言する。だが虎永はこれからの負担をすでに理解している。五大老の中では、自分が太閤の願いと命令を守る唯一の人だと分かっている。これからの戦いでは、虎永は「誰より孤独」な者だけではなく、誰より賢い、そして誰より偉大な者にならなければならない。

真の蛮人

船籍ポルトガルの「黒船」では、ロドリゲスはジェスイットのデラクァとマルティン・アルヴィト司祭にブラックソーンのマニラでの海賊行為の記録が書かれた航海指針日誌を渡す。これだけの証拠でブラックソーンの絞首刑はきっと宣告されるが、問題が一つある:外交を統括する立場にいる完璧主義の虎永は、その日誌の内容を全て訳せと先に要求するでしょう。だがブラックソーンの日誌には、マカオでクリスチャンの改心者である浪人を集め、日本の敵対的植民地支配のために軍を立てているポルトガルの計画が書かれている。それが明かされたら大ごとになる。

ブラックソーンは虎永の元に連れて行かれ、「通詞」と呼ばれるマルティン司祭の通訳により、なぜ20門の大砲を乗せた船で日本まで来たかを問いただされる。このピリピリした対話では、ブラックソーンはイギリスとポルトガルが敵であることを伝え、彼とその乗組員はオランダが発行した私掠免許状を持ち、海域での交易許可を得ていると語り、「道を阻む者がいれば自衛のために戦う」と言い切る。だが無感動の虎永は「もしわしらが戦を仕掛けたらどうする?」と言い返す。「敵対するなど想像できない」とブラックソーンは答えるが、「わしにはたやすく思い描けるぞ」と虎永は冷たく告げる。

ブラックソーンには印象を残す時間が限られている。「我が魂は神の手に。あなたのような敵の手にかかれば死ぬことになるだろう」と言い、虎永に向けて頭を下げる。だが石堂が急に「西の化け物」を見にその場に来ることで、また状況が変わる。虎永の弾劾が迫っていると分かっている石堂は悦に入り、ブラックソーンとジェスイットの宗教的な違いを分かっていることを明かす。新しく手に入ったブラックソーンという駒を石堂に奪われないよう、虎永は按針を牢へと放り込む。再び連れていかれるブラックソーンは「なんだよ、肝心な話が終わってない」とぶつぶつ言う。

密室裏では...?

エピソードは戸田鞠子の家庭内のシーンに移り、戸田広松の息子戸田文太郎との結婚生活を一瞬覗くことができる。文太郎は性格が冷たく、愛情のない夫。息子の性格が明るすぎる、妻が家内を出たことなどにイラつく気難しい人である。3人の惨めな夕飯の最中に広松が訪れ、虎永がこれから行う会合では、驚くことに文太郎ではなく鞠子の出席を要求していると報告する。虎永の妻桐の方と側室の静の方と話し合う鞠子は、一方円満な家庭内の環境に触れることができる。「年老いておりますればあの世へ旅立つ前にもっと大事にしていただかねば」と半分冗談を言う桐の方と虎永がお互いに冷やかし合うシーンからは、文太郎と鞠子と大きく異なって長年結婚している仲が良いカップル感が伝わる。虎永は鞠子に通詞とブラックソーンとの対話の分析、そしてその見立てを訊く。

マルティン司祭は信頼できるが、按針に対しては「用心せねばという気がいたしまする」と鞠子は答える。広松は何故異人が虎永の断罪とクリスチャンの大老に関わりがあるのか分からないまま。ここで鞠子は初めてはっきりと状況を説明する:「殿に断罪がくだされるのは残りの大老が結束して票を投じた場合のみにござりまする。殿はあの異人を用いて石堂とクリスチャンの大老との結束にひびを入れるおつもりかと」と言う。つまり、今牢に閉じ込められている按針は、とりあえず役に立つ存在である。

盗賊、飼い犬、官僚主義者

石堂はすぐにこのジレンマに気付く。ブラックソーンがまだ生きている限り、虎永の弾劾を賛成しないと木山、大野、杉山は石堂を断る。ここで石堂はワイルドカードを出す:薮重。薮重は網代での怪しい行動により虎永に城に招かれないなか、大老衆の間の敵意に気付いている。石堂が訪れるときは、虎永の弾劾が宣告されたら彼の家臣も全て共に処刑すると薮重に念を押す。しかし虎永が死ねば、石堂が一番権力を持つ大老となり、結果として木山と大野はきっと手を組んで石堂の敵となるでしょう。その戦いには勝てないと薮重は石堂に伝える。つまり、石堂は按針の存在を利用するべき、と虎永と同じ立場になる。しかし、石堂は既にブラックソーンの処刑を許可している。ここで薮重は、免責特権を引き換えとして、計画があると伝える。

ブラックソーンは木山の侍に牢で囚われ、殺されるために連れて行かれる。だが森の中を歩くその団体は、急に盗賊に襲われ殺される。驚くことにその「盗賊」も続けて、見慣れた羽を被った家臣とその侍に殺される。命が助かったブラックソーンは、薮重に命じられ跪いたまま何度も「おらは犬じゃ」と言い繰り返す(マニラを攻撃しなかった犬には申し訳ないが...)。薮重はブラックソーンを虎永の元に返し、虎永は偶然薮重がその場を通りかかったことを疑いながら感謝する。ここでエピソードはクライマックスへ進む。

共通の敵

虎永は再び按針に何の目的で日本に来ているかを問い、鞠子に通訳してもらう。ブラックソーンは女王エリザベス1世について話し、イギリス対ポルトガルとスペインの争いについて説明する。ここで驚きの真実を明かす:1494年に、スペインとポルトガルはトルデシリャス条約を正式調印し、ヨーロッパ外の非カトリック全ての「未知の世界」を分け、「統治する権利がある」と定めた。マカオの秘密砦では、ポルトガルは既に領土だと思っている日本を征服するため、浪人の軍を立てている。太閤を相手にしたクリスチャンの謀反を引き起こしたのもポルトガルの仕業。この驚きの報告を聞き怒った虎永は、按針を受け入れることにし、ポルトガル船「黒船」の出発許可を断る。ポルトガルの絹貿易が危うい状態になっていると知る木山は、「この件は私にお任せを」と司祭に伝える。

「この件は私にお任せを」

その夜、刺客組織「阿弥陀党」の一員である大坂城の女中かよは、木山に依頼され動き出す。城内の各部屋に手際よく忍び込み、護衛と他の侍女を数人切り殺し、ブラックソーンがいるはずの部屋に乱入するが、素早く虎永の刀に切り倒される。家臣が虎永の側に駆け寄るなか、これは石堂の仕業ではなく、木山だと虎永は伝える。暗殺を予想していた虎永はブラックソーンと寝所を変わってもらい、阿弥陀党の狙いは虎永ではなく、按針だったことを糺す。だがブラックソーンの命を守ったことで、危険は素早く迫ってくる。虎永は按針と共に今すぐ大阪を離れることが緊急となった。太閤が言ったように、「周りは鵜の目鷹の目の連中ばかりじゃ」。初めの一撃で、日本を手に入れるバトルはいよいよ始まった。

素晴らしいエピソード

歴史的正確さと素晴らしいビジュアルと共に、このエピソードは第1話を超えるほど印象的で良く書かれている脚本を自慢する。このシリーズでバイオレンスが起こるときは、第1話のように時には残酷、第2話の刺客シーンのように時にはスリリングでもあるが、ちびちびと使われているものである。『ゲーム・オブ・スローンズ』の政治的な画策にあまり興味がなかった視聴者として、『SHOGUN 将軍』はこのようなストーリーを描くことに適している。儀式や回りくどい表現、ミスディレクションの中で、このシリーズが驚くほど分かりやすいからだ。

クリスチャンの大老はポルトガルと手を組んだことから得た財力と影響力を保つため、ブラックソーンを殺したい。一方虎永はクリスチャンの大老と石堂の間に不和の種をまくために生きたブラックソーンが必要。石堂には虎永を殺すことと共に、虎永の処刑の後始末を掴むようブラックソーンの存在がいる。鞠子は殿のために役に立ちたいうえ、文太郎との接触をできるだけ避けたい。薮重は裏切り者である自分の首を守るうえ、更に領地、金、そして権力を手に入れたい(死の謎と覗き趣味に取り付かれていない時の話だが)。

『SHOGUN 将軍』は、同盟と対立のコンセプトを描いたシンプルなストーリー性をはじめに、その仕組みの糸をほどけていくことに成功している。そのため、このシリーズを観る楽しみは、誰が本当に誰の味方なのかを突き止めたり、大がかりな推理をしたりすることではなく、キャラクターのあらかじめ決められた動きが実際にどのように展開されるかを見ることです。ジェームズ・クラベルの小説を読んだ人、又は歴史で実際に起きた勝敗を知っている人は、シリーズの行き先を既に分かっているでしょう。『SHOGUN 将軍』は1シーズンしかないため、『ゲーム・オブ・スローンズ』のように60時間以上もかけてポイントAからBまで着くのを待ち続ける必要もない、すなわち行き先まで着く道がストーリーの中で一番重要である。このシリーズは自信を持ってストーリーのペースをしっかり考えている。王道の進歩のように、すべての道は江戸に行くかもしれないが、もしこのシリーズのクオリティのレベルがそのまま続くなら、必然的な結末に向かうとき、その威厳の前に頭を下げなければならないでしょう。

写真提供:FX

イラスト提供:ザ・パス/ナタリー・ビエラット

ベンジャミン・ローズはワシントンD.C.出身の詩人。『エレジー・フォー・マイ・ユース』と『ダスト・イズ・オーバー・オール』を2023年と2024年に発刊。アメリカカトリック大学で英語学を専攻し、2023年にオへーガン詩賞を受賞。2019年から「ザ・パス」のブログを編集している。彼の本はこちらから購入可能。

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